空き家豆知識 TRIVIA

「改定空き家特措法」により注目。税優遇の対象外となる「管理不全空き家」とは? 

「改定空き家特措法」により注目。税優遇の対象外となる「管理不全空き家」とは? 

全国的な空き家の増加は、社会問題として年々深刻化しています。住宅・土地統計調査(総務省)によれば、空き家の総数は1998年の576万戸から2018年の849万戸と20年間で約1.5倍に増えています。このうち、居住目的がなく長期にわたって居住者不在の空き家は、2018年で約349万戸、20年間で約1.9倍にも増加していることがわかりました。(国土交通省・令和410月資料より)

 

少子高齢化社会を背景に、空き家は今後も増え続けると推測されています。その現状を見据えた空き家管理対策として、空き家法の改正による新制度「管理不全空き家」の導入が進められています。

 

新たな指導対象となる「管理不全空き家」。「特定空き家」でなくても固定資産税の負担が大きくなる!?

 

2015年20236月、空き家の適性管理を目的に設けられた特別措置法 (空家対策特措法)の改正法が成立し、202312月の施行が予定されています。

 

空き家対策特措法では、倒壊の危険性や衛生・景観面で著しく害を及ぼすなど、放置することが不適切な状態の空き家は「特定空き家」に指定されています。行政からの勧告を受けると「住宅用地特例」の対象から除外され、固定資産税の減額措置の解除や過料といったペナルティが科せられます。さらに、命令に従わない場合は行政が強制撤去することが可能となります。

 

今までの制度では、この「特定空き家」の指定された場合のフローや対応のみが規定されていました。今回の法改正では、「特定空き家」の前段階の法整備として「管理不全空き家」という区分が新設されています。「管理不全空き家」は、放置すれば「特定空き家」となるおそれのある空き家に指定され、各自治体からの指導や勧告の対象となります。空き家の状態が改善されず、「管理不全空き家」として勧告を受けた場合についても、「住宅用地特例」の対象から除外され、固定資産税の負担額が大幅に増えることになります。

 

 

法改正によって、適切な空き家の管理・対策が急務に!

 

市町村が把握している「特定空き家」等の数は約2万件あるとされていますが、「管理不全空き家」については全国で約50万件にのぼると見込まれています(国土交通省「空き家対策小委員会とりまとめ・令和52月資料より)。2023年末からは、法改正により固定資産税の減額解除の対象となる空き家が大幅に拡大することとなります。

 

たとえ、現状で「特定空き家」に指定されていなくても、建物の状態によっては「管理不全空き家」として税の優遇措置が解除されてしまう場合も。空き家を放置している所有者は、より早急な対応が求められるようになりました。

 

「管理不全空き家」として減税解除のリスクを避けるためにも、管理が行き届いていない空き家は修繕や清掃等の適切な管理を行い、空き家や土地の売却、活用などの対策を早急に行うことが大切になります。

 

空き家法の改正や、管理不全空き家の具体的な内容については、国土交通省のガイドラインで指針を示しています。

 

T.omorrow では空き家や土地の管理、売却、活用など、不動産に関するさまざまな相談を受け付けています。ぜひお気軽にお問い合わせください。